ジャンタルマンタルの川田騎手は、仕掛けのタイミングが絶妙だった。抜群の手応えで4コーナーを回るが、しばらく2番手マスクオールウィンの1馬身後ろで追いだしを待った。これには長い直線でぎりぎり脚をためる。もうひとつ、内アスコリピチェーノの動きを止める意味もあった。

壁の後ろで行き場をなくしたライバルに、ふたをして封じ込めにかかる。早めに抜け出せば、そこにスペースができて相手の進路を開けてしまう。だから動かなかった。瞬発力は互角。いつでも抜け出せる手応えを感じながらダメージを与える。心憎い騎乗だ。

しびれを切らしたルメール騎手が、内に切り替えたのを見てゴーサイン。一気に先頭へ立って勝負を決めた。アスコリピチェーノの内への動き(マスクオールウィンとも過怠金3万円)で密集した内ラチ沿いでは2、3頭が接触する不利。残り400メートル地点の攻防が勝敗を分けた。

スタートから積極的に出していき、終始アスコリピチェーノの半馬身から1馬身前。相手を絞って先手先手で攻めた川田騎手の好騎乗が、2歳の「王者」「女王」対決に決着をつけた。