守り勝つ試合を見守るのは、非常に疲れるね。

日本は3バックだったけれど、実質5バックで戦ったね。勝因は、うまく守れ、VARが導入されなかったことかな。前半38分はDF熊谷のハンドに見えたプレーがあったし、前半終了直前にはゴールラインを割ったか、割らなかったかの微妙なプレーがあった。前半を1-0で折り返したから、後半から得意の守りに徹することができたね。もし、スコアが違っていたら後半の入りも違っただろうし、展開も変わっていただろう。

五輪は12チーム。32チームだったW杯とは戦い方が違って、毎試合凝縮した濃い試合が続く。今の守りを毎試合続けるのは難しい。選手たちは「優勝を目指す」とは言っているけれど、今のままでは2試合くらいでDFラインがアップアップになるよ。世界と戦うには2段階くらい、レベルアップしないと難しいね。

まずは、長い距離を何度も駆け上がる攻撃的な選手が必要だ。足首を骨折したMF宮沢が戻れるか。他のMF陣が何度もピッチを縦に走りきる体力があるか。これが攻撃のカギになるだろう。せっかくいい守備をしても、いい攻撃につなげないと意味がないからね。

もう1つ。日本はセットプレーで得点したけれど、世界との戦いでは、どっちかというとセットプレーは苦手な方だ。その安定した守りと、攻撃のオプションが増やせるか。高さでは欧米に勝てないだろうから、工夫が必要だね。

パリ五輪まで5カ月。低迷している女子サッカー、WEリーグのためにも世界で躍進してほしいね。(日刊スポーツ評論家)