負けなくて良かったね。90分間、日本は攻め手がなく、ラッキーなアクシデントでしか得点する気配がなかった。一方で北朝鮮は体力もプレーの強度も日本に勝っていた。高さでも日本を圧倒したし、特に後半はゴールまであと1歩まで迫ってきた。

では何で日本はいつものパスサッカーができなかったのだろうか。おそらくコンディション調整に失敗したのだろう。まだ肌寒い日本から気温31度の暑いサウジアラビアでの一戦。条件は北朝鮮も同じだったはずだが、日本は明らかに走り負けしていたね。平壌の人工芝を避けて喜んだ割には、あまりにも、お粗末な戦いだったね。

走れないから、パスがつながらない。W杯、特にスペイン戦ではいい守備から、長い距離を走る選手が何人もいた。パスコースが増えたためカウンターが威力を増したし、得点もできて勝てたわけだ。しかし北朝鮮戦では、中盤や守備ラインでボールを奪っても、そこから前に走る選手が少なかった。

中3日で今度はホームの国立での試合。今度こそコンディション調整に成功して、走り勝ってくれないと、パリの道は絶たれるぞ。平日の午後6時半からの試合だ。サッカーファンもテレビで応援するだけでなく、仕事帰りに国立に駆けつけて、選手に力を与えてほしいね。苦しい時にファンの声援は、選手に大きな力になるわけだからね。

(日刊スポーツ評論家)