欧州チャンピオンズリーグ(CL)のフォーマットが大きく変わることが発表されました。2024-25シーズンから変わるということで、かなり前から議論されており、いつから変更するのかが欧州サッカー連盟(UEFA)の中で論点になっていました。結局のところ来シーズンから変更ということで落ち着いたようです。

主な変更点は2つで、出場チーム数が現行32チームから36チームに増加。そして現行のグループステージ制が廃止され、全クラブ参加型のリーグ戦方式が採用されます。リーグ戦の段階で参加クラブは最低8試合を戦うこととなり、うち4試合がホーム、4試合がアウェーでの開催で、成績上位8チームがベスト16へ。9位~24位がプレーオフを戦い、勝ち抜いた8チームがベスト16へと進出します。

この背景には、放映権の問題があります。過去にも触れましたが、レアル・マドリーのペレス会長を中心に新リーグの構想が存在しています。これはCLの放映権の分配に満足しておらず、それなら自分たちでコントロールできる大会を新たに作った方が早いという考えに基づきます。マドリーのペレス会長はリーガの放映権分配方式に対しても納得がいっていない様子で“自分たちが稼いだ金をどうして稼げないチームに配り自分たちの脅威を増加させなければならないのか”とコメントするなど完全終息する様子はありません。CLの放映権は3・8億ユーロ(600億円前後)という金額が1億ユーロ上乗せされ、4・8億ユーロにもなり日本円で770億円近い金額になります。当然試合数は増加していますが、この放映権の金額をあげるだけのためにフォーマットを変更したわけではありません。ただ世界的にコストが上昇している昨今、金額アップの良い理由になっていることに間違いないと感じます。

放映権は日本でも問題提起されるようになりました。一部大きな試合が民放で放映されないなど、民間の放送局に手が出せないような金額感になってきていることは事実です。さらにオリンピックなどのメガコンテンツにおいても、大きな放映権料金は常々問題視されています。そのような中、放映権そのものとは少し話がずれますが、米国バスケットのNBAは、SNS上における映像使用権利はフリーにすることで多くの人々の目に触れる機会を増やすという取り組みを行なっています。管理・監視に対するコストが不要になることもあり、相乗効果を生んだ取り組みとして注目されています。

他方で、言語別でこの放映権をのぞいてみると、イングランド・プレミアリーグが圧倒しています。他リーグの放映権はあまり伸びていません。当然コンテンツ力の強さもありますが個人的にはこの裏には歴史的な部分の影響が非常に大きいと感じます。スペインは歴史的に第2次世界大戦に参戦していない数少ないヨーロッパの大国であり、アジア諸国との距離感は否めません。アジア諸国において、スペインリーグの放映権を購入するまでのプロセスが当然英国よりも複雑で、時間が掛かることも影響していると感じます。言葉の問題だけでなく商売に対する捉え方・考え方の違いなど多くのところでの“異なり“があります。

便利なツールであるスマートフォンが発展・存在しており、増大している放映権ビジネス。現在では、日本では円安という経済状況も影響するなど簡単に解決できない問題となっています。スポーツコンテンツへの影響は大きく、今後も注目していきましょう。

【酒井浩之】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「フットボール金融論」)