あと3・39点…佐々木晴也「思い残すことない」引退理由、肩書への思い

佐々木晴也(20=京都大)が今季限りで競技を引退します。

1月末に国民スポーツ大会冬季大会(北海道苫小牧市)に出場。合計157・20点で成年男子15位となった後、観客やスケート仲間からたたえられる姿がありました。

一線から退く決断した理由と「京大生スケーター」という肩書への本音。「最後の全国大会」を終えた直後の思いを「アイストーリー」でお届けします。

フィギュア

成年男子フリーで演技を披露

成年男子フリーで演技を披露

「12位」までの差…決断に至った大舞台

その差は3・39点だった。

2023年12月24日。

佐々木晴也は2度目の全日本選手権を13位で終えた。

大会前は「12位」を目標に据えていた。そうすれば、日本スケート連盟の強化選手入りの可能性が高まると、にらんでいたからだ。

ショートプログラム(SP)17位発進ながら、フリーでは13位につけた。合計208・87点をマークし、初出場だった前年から8・92点を上乗せした。

必死に巻き返したが、それでも12位の片伊勢武アミンとは3・39点の差があった。

全日本選手権の男子SPで演技する佐々木(23年12月21日)

全日本選手権の男子SPで演技する佐々木(23年12月21日)

来季は大学3年生になる。学業に重きを置きたい思いもあった。ここが引き際だと思った。

「たくさんのことを考えた上で決めましたが、一番大きな理由は全日本で13位だったからです。12位に入れるかどうかで来季以降のことを決めようと思っていました」

届かなかったことへの後悔よりも、結果を受け入れる思いが上回った。

「自分が追い込み切れていなかったのであれば、もう1年やるという選択肢もあったと思います。でも今年はやり切って、良い演技もできた上での順位だったので、思い残すことはないです。この3点は実力不足。どこか運命的なものなのかな、とも感じました。3点で落ちたので『ここだぞ』と言われているような気がしました」

全日本から数日後。2023年の年末。

帰省先の愛知で日野龍樹、山本草太、壷井達也、田内誠悟と会った時には既に、今季限りで引退する旨を伝えていた。

全日本ジュニア選手権の男子フリーを終え、ガッツポーズする佐々木(22年11月27日)

全日本ジュニア選手権の男子フリーを終え、ガッツポーズする佐々木(22年11月27日)

「取り残された」苦悶のジュニア時代から復活

存在感を示したのは、ノービス時代からだった。

15年の全日本ノービス選手権Aで2位。16年の同大会でも3位に入り、2年連続で表彰台に立った。

邦和クラブでは、壷井の1学年後輩。ジャンプの習得は、いつも先だった。

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岐阜県不破郡垂井町出身。2022年4月入社。同年夏の高校野球取材では西東京を担当。同年10月からスポーツ部(野球以外の担当)所属。
中学時代は軟式野球部で“ショート”を守ったが、高校では演劇部という異色の経歴。大学時代に結成したカーリングチームでは“セカンド”を務めるも、ドローショットに難がある。