【DeNA度会隆輝】満塁弾の陰にプロらしい達観「運のスポーツでもある」/連載22

グランドスラムの歓喜が全身を貫き、男泣きをこらえた―。4月26日の巨人戦(横浜)。DeNA度会隆輝外野手(21)が1点リードの8回2死満塁、変則左腕でENEOSの先輩でもある巨人高梨のスライダーを捉え、右翼席に豪快に運びました。新人では球団史上初となる3号満塁本塁打。試合前まで14打席無安打と苦しみ、22試合目でプロ入り後初めて1番を外れ「8番右翼」で先発したドラ1ルーキー。10試合ぶりの猛打賞で応え、チームに3試合ぶりの白星をもたらしました。

プロ野球

◆度会隆輝(わたらい・りゅうき)2002年(平14)10月4日、千葉県生まれ。横浜高では1年夏から2季連続で甲子園出場。卒業後は社会人野球のENEOSに進み、2年目の22年都市対抗では優勝に貢献し、野手で史上初めて橋戸賞、若獅子賞、打撃賞の3冠に輝いた。昨年ドラフト1位で中日、ロッテとの3球団競合の末、DeNA入団。セ・リーグ史上初となる新人での開幕戦から2戦連続の本塁打を放った。家族は両親と兄。父博文さん(52)は元ヤクルト内野手。183センチ、83キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸1600万円。

「最高でぇす!」は封印

度会はお立ち台で、もはやおなじみとなった「最高でぇす!」は封印した。冷静にスタンドを見つめながら、言葉を紡いだ。

「いつも温かいご声援を送ってくださる皆さんのおかげの1本だと思ってるので、本当にいつもありがとうございます」

――打ってやるぞという気持ち

「一昨日とか打てなかったのでみなさんに申し訳ない気持ちだったんですけど、今日はこうやってちょっとですけど、打てたのでよかったです」

――初めて8番でスタメン

「やることは変わらないので全力プレーで必死こいてやろうという思いでやってました」

――猛打賞で流れに乗れる

「明日も明後日も試合は続くので全力プレーで頑張りたいと思います」

――ファンへメッセージ

「ゴールデンウイーク楽しみましょうー」

目に涙をためながら、懸命にこらえる。その声は震えていた。

「耐えたっすね」

直後の囲み取材。うれしさをかみしめながら、冷静に振り返った。

――満塁本塁打。苦しい時期もあったと思うが

「いや、そうですね。もうめちゃくちゃうれしかったです」

――涙を浮かべていたように見えたが

「いやこぼれてなかった、耐えたっすね」

――どういう感情だった

「いろいろな感情がこみあげてきてしまいそうになったんですけど、耐えられたんで良かったです。男たるもの泣いてはいけないなと」

――ここ最近打ててない中で、今日は8番に入った

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1998年3月生まれ。東京都あきる野市出身。都立富士森では硬式野球部に所属。中大商学部を経て、2020年4月入社。同年10月から野球部配属で同12月から巨人担当、24年1月からDeNA担当を務める。 趣味は海外サッカーなどのスポーツ観戦、映画鑑賞、サウナ。下手くそだけどマイブームはゴルフ。好きな食べ物は地元の八王子ラーメン。