土砂降りのハマスタで“勝利の女神”は虎に微笑んだ。9回にDeNA山崎を引きずり下ろし、2点差をひっくり返した。

大石 山崎の不調に付け込んだ阪神は、先頭の代打糸原が出塁したのが大きかったですね。ぼくは1回から6回まで毎回続けて先頭打者が出塁したゲームは記憶にない。阪神は降雨で早い仕掛けをしたが点をとれなかった。結局は先取点も、決勝点もノイジーの押し出し四球だった。もう少し早く攻撃陣が点をとっていれば、途中まで好投していた伊藤将を勝たせることができたはずです。ここからいかに各打者がいい形にもっていくかでしょうね。

ノイジーにとって、4月9日の広島戦(甲子園)以来の「5番」だった。「6番」に下がった佐藤輝は4打席連続三振を喫した後、9回の好機も二ゴロ併殺に終わった。

大石 佐藤輝は追い込まれるまでに、きわどいボールでもない、ボールからボールになるような球に手を出してカウントを不利にしている。しかも、2回、4回と無死一塁の場面で見逃し三振はいただけない。見逃し三振では何も起こらないわけで、もともとタイミングのとり方がうまくないほうですが、さらに良くない方向にいっている。

ノイジーが選んだ2つの四球が勝因だったとすれば、逆にDeNAの9与四球は敗因だったといえる。ちなみにDeNAの76与四球はリーグワーストだ。

大石 阪神が優勝するには、いつもピッチャーが抑えて勝つのではなく、やはりはね返す力で勝っていく試合がないと厳しい。近本、中野の1、2番が当たってきたのは心強い。やはり3、4、5番ですね。特に今のままだと佐藤輝はしんどい。週末のヤクルト戦(甲子園)で、いかに佐藤輝を起用するかに注目したい。【取材・構成=寺尾博和】