試合取材のため、毎週のように数時間以上電車に揺られている筆者も、同情を禁じ得ない出来事があった。

 11月18日にブンデスリーガ3部第16節が行われ、ドイツ東部に拠点を置くFSVツウィッカウはアウェーでカールスルーエと対戦。当初この試合は14時キックオフを予定していたが、これが30分遅れ、14時半に開始となった。大衆紙「ビルト」など複数メディアによると、ドイツ鉄道が臨時で運行したツウィッカウファン専用列車が、線路のポイント切り替えミスにより、誤った方向へと進んでしまったことがその理由だ。

 FSVツイゥッカウで運営部長を務めるヨルク・シャーデ氏も、午前4時発のこの臨時列車に同乗しており、異変にはすぐに気がついたという。

 「ライプチヒの少し手前で右方向に向かっているのが分かり、『これ、東に進んでるんじゃないか?』と思った。幸い運転手もすぐに気づいたようで、ほどなくして停車したんだ」

 しかしビルト紙によると、動力である先頭部を切り離し、別の列車につなげるという一連の作業のため、約500人のファンが乗った電車は90分間の遅延に。幸いシャーデ運営部長が、試合を開催するカールスルーエと現地の警察に電話ですぐさま連絡を取り、そして審判団も了承したため、ツウィッカウファンが無事にスタジアムへ到着するまで、キックオフが遅らされたというわけだ。

 同紙に対し、ツウィッカウのスポーツディレクター、ダービッド・ワーグナー氏は「試合前の準備に支障は出たが、条件はカールスルーエも同じだったからね。敵地に乗り込んだ我々としても、わざわざホームからやってきてくれる我々のファンに試合を見せてあげたかった」とコメントしたが、残念ながら試合は0-1で敗れている。

 90分遅れはあまり出くわさないが、かといって「そんなことはめったにない」と自信をもって言いきることなど決してできないのがドイツ鉄道。筆者の7年半の在独経験のうち最大のものでは、2010-11シーズンの冬に、「夜行列車が600分遅れ(10時間遅れた時点で“夜行”ではない気もするが・・・)」という表示をマンハイム中央駅で見かけたことがあり、普段の移動でも20~25分以内の遅延であれば、「定刻」と割り切るようにしている。

 日本から観戦に訪れるブンデスリーガファンの方々には、(乗り換えのある時、悪天候の時は特に)電車の時間に余裕を持って行動されることをお勧めしたい。