<名古屋2-0磐田>◇第3節◇21日◇瑞穂陸

 磐田がまたも「秒魔」に襲われた。試合開始17秒で失点した。開幕の仙台戦(6日)の26秒に続く、開始早々の先制パンチは重くのしかかり、序盤から劣勢を強いられると攻撃陣も沈黙。後半途中から3トップでの積極采配も、無得点に終わった。開幕から3戦未勝利で、順位も降格圏の17位に転落した。

 試合開始から17秒、60メートル先の敵陣から放たれたボールは、全国で吹き荒れた強風に乗って磐田ゴールへと向かってきた。GK八田が懸命に伸ばした手も届かず、ゴールへと吸い込まれた。「蹴った瞬間くると思ったけど、思ったよりも風で伸びてきた」と、予測不能のシュート、いや実際にはクリアボールだったかもしれない一撃にとまどいを隠しきれなかった。開幕戦の26秒弾に続いて、開始早々からビハインドを負った。

 チームワーストの最速失点直後、反撃に出た。前半2分、FWイ・グノのドリブル突破から、ボールを受けたFW前田のシュートは相手GK正面。同30分には、MF西の折り返しにDFパクを経由して、再び前田が相手GKと1対1になったが、ニアサイドを狙ったシュートは好セーブに阻まれた。西が「チャンスつくっても決められない。風を味方にしたのは向こう」と言うように、決定機に決めきれない。前田は「右を狙ったらGKに読まれた。おれが下手くそでした」と、敗戦の責任を一身に背負った。

 風上に立った後半17分、「攻撃的にいった。得点に絡む動きを期待した」と柳下監督はFW荒田を投入し変則3トップでたたみかけようとした。3月に入って「1つのオプション」(同監督)として取り組んできたが、ゲームの風向きは変わらない。結局終了間際の同43分にも追加点を許した。相性のいい名古屋戦1310日ぶりの敗戦だった。

 細かいパスでリズムをつくり主導権を握る攻撃的なサッカー。今季掲げたスタイルは、まだピッチで得点にも勝利にも結び付いていない。西は「もっと、前の4人で入れ替わりながら動いてもいいと思う。去年のような形を取り戻さないといけないかもしれない」とも話した。シュート数は名古屋を上回る13本放った。柳下監督も「今季やろうとしていることは何回かできた」と言い切った。若返ったチームには開幕したばかりの今は、迷い苦しむべき時期なのか。迷走を終えない限り、目指すべき道は見えてこない。【栗田成芳】