Jリーグは、各カテゴリーで佳境を迎えています。J1の優勝争いは鹿島アントラーズと川崎フロンターレの2チームに絞られ、J2ではJ1昇格を懸けたプレーオフ争い参戦が繰り広げられています。

 J3の優勝争いも目が離せません。首位栃木SCから3位アスルクラロ沼津までの勝ち点差は3。混戦模様のまま残り3試合。私が担当している沼津は今季からJ3に初参戦し、初年度でリーグ初優勝の可能性を残しています。ただ、クラブはJ2ライセンス条件を満たしていないため、優勝やJ2自動昇格圏内の2位でも、来季はJ3のままです。

 では、なぜ優勝を目指し続けるのか。選手のモチベーションとは-。

 答えは明確です。結果を残して行政を動かすことです。J2ライセンス取得で最大のネックとなっているのが、「スタジアム問題」。本拠地の愛鷹広域公園多目的競技場では座席数が足りず、改修しなければいけません。そのためには少なくても8億円以上が必要と言われています。新スタジアム構想も出ていますが、莫大(ばくだい)な費用がかかるため、現時点では、改修案が現実的です。

 結果を残せば、市、県、も動かざるを得なくなります。吉田謙監督(47)は、その状況を念頭に選手を指導していきました。「ライセンスがある、ないの問題ではない。ピッチに立てば応援してくれる人のために全力で勝利を目指すのが我々の仕事。勝ち続けることで地域の人の心に火をともしていきたい」。

 クラブは来年、J2ライセンス条件の1つにもなっているユースチーム(U-18=18歳以下)を立ち上げます。今も昔も、静岡県東部地区の有望選手は、強豪チームがひしめく中部地区に流れる傾向。沼津ユースには、それを食い止める「受け皿」になることを期待しています。そして、そこで育った選手がトップチームで活躍する。早期のJ2昇格、その先のJ1参入を見据え、クラブは動きだしています。

 だからこそ、沼津の選手たちの思いは1つです。「優勝して静岡県東部地区を盛り上げること」。来季以降を見据え、戦い続ける沼津の全力プレーに注目しています。


 ◆神谷亮磨(かみや・りょうま)1985年(昭60)8月28日、静岡市清水区生まれ。幼稚園からサッカーを始め、高校は東海大静岡翔洋(旧東海大一)でプレー。08年入社。担当は11、12年に磐田、13、14年にアマチュアサッカー、15、16年は清水。現在はJ3沼津や高校サッカーなどを担当。