全文【井上尚弥の言葉】「覚えてるわけない笑」初ダウン…会見で明かした被弾理由とは

4団体統一スーパーバンタム級王者の井上尚弥(31=大橋)が、プロボクシング約34年ぶりの東京ドームで防衛に成功した。WBAスーパーとIBFは初、WBCとWBOは2度目の偉業。元世界2階級制覇、現WBC世界同級1位ルイス・ネリ(29=メキシコ)の挑戦をはね返し、日本人初となる4団体統一王座防衛を6回1分22秒のTKO勝利で成し遂げた。井上は27勝(24KO)で、ネリは35勝(27KO)2敗。試合直後、尚弥がリング上で発した【言葉】とメディア向け記者会見の【発言】を全て、余すことなく伝える。

巻末では、井上尚が強く意識してきた“世紀の大番狂わせ”―今も語り継がれる東京ドームでの1990年2月11日、統一世界ヘビー級王者マイク・タイソン(米国)陥落の舞台裏、鉄人神話崩壊までを番記者がたどった大型連載を紹介する。

ボクシング

<プロボクシング:4団体統一スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦>◇6日◇東京ドーム◇観衆4万3000人

6回、ネリ(後方)からダウンを奪いガッツポーズの井上尚(撮影・鈴木みどり)

6回、ネリ(後方)からダウンを奪いガッツポーズの井上尚(撮影・鈴木みどり)

リング上マイク

-防衛に成功

井上尚弥 皆さん、こんなにも多くお集まりいただき、ありがとうございました。ここ東京ドームで34年ぶりの日本人メインベント。自分自身、すごくプレッシャーがあったんですけど、こうして皆さんの力が僕のパワーになりました。本当にありがとうございました。

-倒した瞬間は

尚弥 倒した瞬間というのは。いつになく最高の気持ちですけど…皆さん、1ラウンド目のサプライズ、たまにはいかがでしょうか。

4団体統一スーパーバンタム級タイトルマッチ 4回、ネリにボディーを見舞う井上尚(撮影・たえ見朱実)

4団体統一スーパーバンタム級タイトルマッチ 4回、ネリにボディーを見舞う井上尚(撮影・たえ見朱実)

-ダウンを取られた直後、笑っていた

尚弥 やっぱりボクサーということで、そういうシーンは自分自身、燃え上がるところがあるので、非常にハイテンションで試合をしてました。日本、東京ドームでルイス・ネリと試合できたことに、本当に感謝いたします。ありがとうございます。

-ダウンを奪われた時、セコンドの父真吾さんから言葉があった

尚弥 いや、もう覚えてないですよ。はい。自分自身、必死だったんで。ただ、ダウンした瞬間に落ち着いて対処することができたので、普段のイメトレが、こうして出たと思います。

4団体統一スーパーバンタム級タイトルマッチ ネリに勝利し笑顔を見せる井上尚(撮影・たえ見朱実)

4団体統一スーパーバンタム級タイトルマッチ ネリに勝利し笑顔を見せる井上尚(撮影・たえ見朱実)

-ダウンを奪い返した時に弟の拓真と目が合った

尚弥 いや、だから覚えてないですよ。ダウンした瞬間のことなんて覚えてるわけないじゃないですか。勘弁してくださいよ(笑い)。

-ファンに向けて

尚弥 ここに駆けつけてくれた4万人のお客さん、今日は本当に満足する試合だったと思います。また、こういう皆さんが期待するような試合をして、最高の試合をしていきたいと思いますので、今後とも期待してください。

試合後、家族と写真に納まる井上尚(左から2人目)。左から弟の拓真、1人おいて父真吾トレーナー、いとこの浩樹(撮影・鈴木みどり)

試合後、家族と写真に納まる井上尚(左から2人目)。左から弟の拓真、1人おいて父真吾トレーナー、いとこの浩樹(撮影・鈴木みどり)

-ネリと握手していた

尚弥 6年前に日本での因縁があったというのは、自分自身、第2戦を会場で観戦していたので、ファンの気持ちというものはしっかりと自分の中で受け止めてはいましたが、ここ東京ドームでの戦いというのは、井上尚弥VSルイス・ネリということで、自分はもう、この戦いに集中して心がけてきました。なので、勝った瞬間というのは、やはりネリに感謝という気持ちで握手を求めに行きました(ここで、オーストラリアの18戦無敗、IBF&WBO世界同級1位のサム・グッドマンがリングイン)。

ネリに6回TKO勝ちし歓喜する井上尚(撮影・鈴木みどり)

ネリに6回TKO勝ちし歓喜する井上尚(撮影・鈴木みどり)

-今後の展望は

尚弥 次戦9月ごろ、隣にいるサム・グッドマンと防衛戦をしていきたい。これから交渉していきたいと思います。

メディア向け記者会見

-振り返って

井上尚 自分の中でも激闘と言える試合ができた。1ラウンド(R)にダウンを喫したけど、ダウン(を奪い返す形)で勝つことができて、自分の中でいいキャリアを築けた。

-ダウンのダメージは

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