おやおや。あれあれ。まあまあ-。指揮官・岡田彰布風に言えば「いやいや」か。

豊富な投手力を武器に、接戦を得意とする阪神が今季初のサヨナラ負けを喫した。「1-2」で2位巨人相手に連敗。貯金は「4」に目減りし、巨人とのゲーム差は「1」となった。

延長10回サヨナラ負けまでのプロセスをたどれば、なかなかショッキングなゲームかもしれない。それでも身もふたもない言い方を許してもらえれば、こういうことだ。「こんな日もあるよ、そら」-。

先日、阪急ブレーブスのレジェンド・山田久志(日刊スポーツ評論家)と甲子園で少し話す機会があった。90年代半ば、イチロー擁するオリックスが黄金時代を築いたときの投手コーチでこちらは担当記者だった。当時からよく野球を教わったもの。その甲子園で山田はこんな話をした。

「阪神の投手はよう頑張っとるよな。ホントに。でもなあ、いつもいつも抑えられるとは限らんぞ。もちろん岡田監督もそこは分かってるだろうけどな」

監督には大別して投手出身、野手出身の2つのパターンがある。これは岡田もよく話すことだが、それぞれに特徴があるという。例えば野手出身のそれは「投手は抑えるもの」という前提に、無意識のうちに立っているということだ。

誰とは言わないが、ある球団の野手出身監督は自軍の投手が四球を出すとすごく怒った。周囲は本音では「たまには出しますよ」と思っていたが、直接、監督には言えない様子だった。

そして岡田も言うまでもなく野手出身監督。四球を嫌うのも同じだ。だから万全を期した西勇輝から岩崎優へのスイッチが失敗したり、島本浩也が打たれたり…という結果にさぞ、ご立腹かと思ったらそうでもなかった。

「まあ、そら、2つ負けるときもあるよ。そら。そんなの。そんなんで深刻になっとったら1年間できるかいな。相手もあるんやから。もうちょっとちゃんとしたら負けを防げたかな、ということ」

淡々と話す背景には投手だけでなく守備のミスもあり、走塁ミスもあり、何より、またも西勇を援護できなかった打線ということもあるだろう。途中まで勝てそうだっただけにもったいないし、西勇は気の毒だと思うが、それもプロ野球。5日にしっかり勝てば、この日の結果は「反省材料」として終わるのだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

巨人対阪神 8回、ベンチで厳しい表情を見せる岡田彰布監督(撮影・加藤哉)
巨人対阪神 8回、ベンチで厳しい表情を見せる岡田彰布監督(撮影・加藤哉)
巨人対阪神 8回裏巨人1死二塁、岩崎は丸に右適時打を打たれ失点(撮影・加藤哉)
巨人対阪神 8回裏巨人1死二塁、岩崎は丸に右適時打を打たれ失点(撮影・加藤哉)