<ソフトバンク5-4西武>◇29日◇みずほペイペイドーム

栄光の未来へ向け、小久保ホークスが劇的に今を駆け抜けた。西武に3戦連続のサヨナラ激勝。チーム2年ぶりの6連勝で首位快走だ。チームが福岡に本拠地を移して36年目のシーズン。節目となる通算2500勝を手にした。こんな勝ち方でメモリアルを飾るとは…。ダイエー時代は本業の小売業から終盤の粘りをもじって「閉店間際のダイエー野球」と言われもしたが、粘るだけじゃなく、小久保ホークスは勝利をもぎ取る「強さ」を備えている。

王球団会長も興奮気味だった。ネット裏から叫んでいた。「打ってくれ! と言ったら本当に打ってくれたな。でもね、やっぱりさすがだよね。柳田。首位打者だしな」。9回2死からサヨナラ3ランを放った主砲を大絶賛した。巨人と別れを告げ、「世界の王」がはるばる博多の人となったのは95年シーズンだった。ダイエー、そしてソフトバンクと親会社が変わってもチームを率い968勝を積み上げた。「(ホークスの福岡移転から)2500勝? え、もうそんなになるの。すごいね。2500はすごいね」。サヨナラ3連勝の高揚感もあってか、節目の勝利を知らされると、王会長の声のトーンはさらに上がった。

チーム野手で最年長はヒーローとなった柳田。88年10月生まれだから、まだ1歳に満たないときに福岡でのホークスの歴史は始まった。「過去」の歴史を知るよしもない。ただバットで守備で、常勝復活を目指しチームを鼓舞し続けている。背番号「9」はタクトを振る小久保監督の現役引退後に譲り受けた。歴史はしっかりと紡がれている。

主砲の1発とともにニューフェースの活躍もうれしい。7回には育成からはい上がった仲田が代打でプロ初ヒット。昨オフの現役ドラフトで日本ハムから移籍した長谷川が9回1イニングを抑えプロ初勝利を手にした。新たな芽吹きも感じさせながらチームはしっかりと歩みを進めている。

「若い人たちには経験はないが、未来への爆発力があるんですよ」。ホークス常勝の礎を築いた故根本監督の言葉がよみがえる。今日30日は根本さんの25回目の命日。何とも因縁深い劇的勝利だった。

ソフトバンク対西武 9回裏ソフトバンク2死一二塁、柳田は逆転サヨナラ本塁打を放つ(撮影・林敢治)
ソフトバンク対西武 9回裏ソフトバンク2死一二塁、柳田は逆転サヨナラ本塁打を放つ(撮影・林敢治)
ソフトバンク対西武 9回裏ソフトバンク2死一二塁、柳田は逆転サヨナラ本塁打を放つ(撮影・林敢治)
ソフトバンク対西武 9回裏ソフトバンク2死一二塁、柳田は逆転サヨナラ本塁打を放つ(撮影・林敢治)
ソフトバンク対西武 ヒーローになった柳田はお立ち台でガッツポーズ(撮影・梅根麻紀)
ソフトバンク対西武 ヒーローになった柳田はお立ち台でガッツポーズ(撮影・梅根麻紀)
ソフトバンク対西武 7回裏ソフトバンク無死一塁、仲田はプロ入り初安打を放つ(撮影・林敢治)
ソフトバンク対西武 7回裏ソフトバンク無死一塁、仲田はプロ入り初安打を放つ(撮影・林敢治)
ソフトバンク対西武 7回裏ソフトバンク無死一塁、中前安打を放ち笑顔を見せる仲田(撮影・梅根麻紀)
ソフトバンク対西武 7回裏ソフトバンク無死一塁、中前安打を放ち笑顔を見せる仲田(撮影・梅根麻紀)