阪神85年日本一の守護神で、05年のリーグ優勝時に投手コーチを務めた中西清起氏(61=日刊スポーツ評論家)が、首位を走る岡田阪神の開幕から26試合の戦いを分析。強さの秘密は投手陣の頑張りと岡田采配の妙にあると解説しました。【聞き手=松井清員】

阪神が開幕時の低迷から立て直して首位戦線を走れているのは、投手陣の頑張りに尽きる。打線が10試合連続2得点以下の球団ワーストタイで低調だった期間も、4勝4敗2分けの5割でしのいだ。力がないチームなら、せいぜい2勝8敗ぐらいだろう。借金6か5割か、この差は歴然だ。4つ勝てたのも大きいが、2つの引き分けにも価値があり、負けなかったことがチームの強さを表している。

落合監督時代の中日も接戦で負けなかった。点は多く取れなくても、ドローに持ち込んだり、2-1や3-2の試合をことごとく拾っていた。プロ野球の優勝は勝率で争うのだから、負けないチームがイコール、強いチームだ。まだ開幕26試合だが、延長を5度も戦って無敗という数字も粘り強さの象徴だろう。逆に最下位のヤクルトは接戦に弱く、高津監督が阪神に逆転負けした28日に「タイガースとの小さな差が、大きな結果になっているんじゃないかな」と話した通りの順位になっている。

先発陣の頑張りはもちろんだが、救援陣の貢献度は極めて高い。日替わり守護神のゲラと岩崎で1敗だけ。この2人の負けが増えると方程式も確立できないが、後ろの2イニングが安心して計算できる。その前を投げる桐敷や加治屋も安定感がある上、回またぎもこなす。両リーグ最良の救援防御率1・13が示す通り、現状で死角は見当たらない。

岡田監督のタクトも光る。4失策で敗れた26日の試合後に野手陣を集めて緊急ミーティングを開いた。「切り替えろ」とゲキを飛ばしたというが、監督の性格からしてその場で3失策の木浪を名指しすることはなかったのではないか。でも次の日はスタメンを外した。28日に不振の佐藤輝を糸原に代えた采配もしかり。ある意味“無言のメッセージ”でチームに緊張感を持たせている。強さを感じさせる戦いで堂々の首位にいる。(日刊スポーツ評論家)

広島対阪神 記者の質問を受けながら引き揚げる岡田監督(撮影・前岡正明)
広島対阪神 記者の質問を受けながら引き揚げる岡田監督(撮影・前岡正明)
広島対阪神 記者の質問を受けながら引き揚げる岡田監督(撮影・前岡正明)
広島対阪神 記者の質問を受けながら引き揚げる岡田監督(撮影・前岡正明)
傘を差して室内練習場に移動する岡田監督(撮影・上田博志)
傘を差して室内練習場に移動する岡田監督(撮影・上田博志)